【保存版】空売りで保証金が必要なのはなぜ?仕組みと注意点5選
株取引を始めたばかりの方や、これからステップアップしたいと考えている方にとって、「空売り(信用売り)」は非常に魅力的な手法ですが、同時に「なぜ保証金が必要なの?」という疑問を抱くポイントでもあります。
手元に株がないのに売ることができる空売りは、通常の現物取引とは異なるルールが適用されます。
その中でも、「保証金」の仕組みを正しく理解しておくことは、資産を守りながら賢く利益を出すための第一歩です。
この記事では、空売りで保証金が必要な本質的な理由から、証拠金維持率の計算方法、そしてリスクを最小限に抑えるための具体的なテクニックをプロの視点で分かりやすく解説します。
これから空売りに挑戦する方は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
- 空売りの仕組みと「保証金」が必要な根本的な理由
- 空売りの保証金はいくら必要?最低ラインと計算方法
- 空売りで避けて通れない「追証(おいしょう)」の恐怖
- 空売りのコスト:金利や貸株料以外にかかる費用
- 保証金として使える「代用有価証券」の活用術
- 空売りのメリットを最大限に活かす3つのシーン
- 空売り銘柄の選び方と失敗しないためのチェックポイント
- 空売りで利益を出すための具体的なエントリー戦略
- 空売りのリスク管理:致命傷を負わないための鉄則
- 機関投資家の動きと空売り:個人投資家が知っておくべき裏側
- 空売りと「時間軸」:デイトレ・スイングそれぞれの戦い方
- 空売りの始め方:証券口座の選び方と設定
- 空売りにまつわるFAQ:初心者が抱く疑問を全解消
空売りの仕組みと「保証金」が必要な根本的な理由

そもそも空売り(信用売り)とはどのような取引か
空売りとは、証券会社から株を借りて市場で売り、価格が下がったところで買い戻して株を返却する取引のことです。
「高い時に売って、安い時に買い戻す」ことで、その差額が利益になります。
通常の株取引(現物取引)は、自分の資金で株を購入しますが、空売りは「借り物」を売る行為です。
そのため、証券会社に対して「必ず後で買い戻して返します」という約束の証拠としてお金を預ける必要があります。
この預けるお金が「委託保証金(証拠金)」と呼ばれるものです。
これがないと、もし株価が急騰して買い戻せなくなった場合に、証券会社が大きな損失を被ってしまうからです。
なぜ現金ではなく保証金という形で担保が必要なのか
信用取引において保証金が必要な最大の理由は、「決済履行の保証」です。
空売りをした後に株価が上がってしまうと、投資家は損をすることになります。
株価に上限はないため、理論上の損失は無限大に膨らむ可能性があります。
そのため、あらかじめ一定額の資金を担保として確保しておくことで、市場全体の安全性を高めているのです。
また、保証金は現金だけでなく、保有している株式(代用有価証券)で充当することも可能です。
これにより、手元の資金を効率的に活用できるというメリットもあります。
証券会社がリスクを回避するためのセーフティネット
証券会社は、顧客が損失を出して支払不能に陥ることを最も恐れています。
保証金制度があるおかげで、万が一の際にもその保証金から補填することができます。
もしこの制度がなければ、個人投資家が自由に株を借りることは難しくなるでしょう。
つまり、保証金は私たちが信用取引という「レバレッジをかけた効率的な投資」を行うためのパスポートのような存在なのです。
空売りの保証金はいくら必要?最低ラインと計算方法
最低委託保証金「30万円」の壁とは何か
日本の証券会社で信用取引口座を開設し、空売りを始めるためには、法令で定められた最低限のルールがあります。
それが「最低委託保証金 30万円」という決まりです。
たとえ数万円の取引をしたい場合でも、口座には最低30万円相当の資産が入っていなければなりません。
これは、投資家がある程度の余力を持って取引に臨むように設定された基準です。
最近では、この30万円を現金で用意するだけでなく、Amazonギフト券やポイント等ではなく、しっかりと証券口座内の資産で管理する必要があります。
資金が不足している場合は、まずは現物取引で資金を増やすか、入金を行うことから始めましょう。
約定代金の30%以上という「委託保証金率」
空売りを行う際、必要な保証金の額は取引する金額(約定代金)によって変動します。
一般的には、約定代金の30%以上の保証金が必要です。
例えば、100万円分の空売りをしたい場合、最低でも30万円の保証金が必要になります。
これを計算式にすると以下のようになります。
| 取引金額(約定代金) | 必要保証金(30%の場合) |
| 10万円 | 3万円(※ただし最低30万円ルールが優先) |
| 100万円 | 30万円 |
| 300万円 | 90万円 |
このように、取引金額が大きくなればなるほど、預けておくべき保証金も増えていきます。
レバレッジは約3.3倍までかけられる計算になりますが、常にギリギリで運用するのは非常に危険です。
レバレッジをかけることのメリットと隠れたリスク
30%の保証金で100%の取引ができるということは、少ない資金で大きな利益を狙えるということです。
これが信用取引の醍醐味であり、多くのトレーダーが活用する理由です。
しかし、思惑が外れた時のダメージも3.3倍になることを忘れてはいけません。
「もっと稼ぎたい」という欲に負けて、限界まで空売りポジションを持つことは、初心者の方には絶対におすすめしません。
まずは余裕を持った資金管理を心がけ、徐々に慣れていくことが、長く生き残るための秘訣です。
ネット通販で賢くお買い物をするように、投資のコスト管理も徹底しましょう。
空売りで避けて通れない「追証(おいしょう)」の恐怖
証拠金維持率が低下すると何が起きるのか
空売りをしている最中に、株価が予想に反して上昇してしまった場合、含み損が発生します。
すると、預けている保証金の価値が相対的に目減りし、「証拠金維持率」が低下します。
この維持率が、証券会社が決めた一定のライン(一般的に20%〜25%程度)を下回ると、「追加委託保証金(追証)」が発生します。
追証が発生すると、期限までに不足分を入金するか、ポジションを解消しなければなりません。
追証は、投資家にとって最も避けたい事態の一つです。
強制的に資金を工面しなければならないため、精神的なストレスも相当なものになります。
追証が発生する具体的な株価の計算例
では、具体的にどのくらい株価が上がると追証になるのでしょうか?
簡単な例で見てみましょう。
- 保証金:30万円(現金)
- 空売り額:100万円(株価1,000円を1,000株)
- 維持率ライン:20%
この場合、含み損が10万円を超えると、実質的な保証金が20万円(20%)となり、追証の危機が迫ります。
株価が1,100円になった時点で、含み損は10万円となり、維持率は20%になります。
わずか10%の株価上昇で、追証が発生する可能性があるということです。
空売りは、買いよりも素早い判断と、厳格な損切りルールが必要とされる理由がここにあります。
強制決済(強制ロスカット)の仕組みと注意点
もし追証が発生したのに入金を行わなかった場合、どうなるでしょうか?
答えは、「証券会社による強制決済」です。
翌営業日の寄り付きなどで、あなたの意思に関係なく全てのポジションが買い戻されます。
この際、決済手数料も割高になることが多く、最悪の場合は保証金を全額失うだけでなく、不足金(借金)が発生することもあります。
こうなってしまっては、投資を続けること自体が困難になります。
だからこそ、空売りをする際は「どこで逃げるか」をあらかじめ決めておくことが重要です。
空売りのコスト:金利や貸株料以外にかかる費用
株を借りるためのレンタル料「貸株料」の仕組み
空売りは、証券会社から株を借りて行う取引であるため、その「レンタル料」が発生します。
これが「貸株料(かしかぶりょう)」です。
貸株料は、約定代金に対して年率で計算され、株を借りている期間に応じて日割りで発生します。
一般的に制度信用取引では年1.15%程度、一般信用取引では年2.0%前後の設定が多いですが、証券会社によって異なります。
土日祝日もカウントされるため、連休を跨いで空売りポジションを持つ場合は注意が必要です。
「たった数パーセント」と思われがちですが、長期保有になればなるほど利益を削る要因となります。
逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生する条件とリスク
空売り特有のコストとして、最も警戒すべきなのが「逆日歩」です。
これは、市場で貸し出せる株が不足した際に、証券会社が外部(機関投資家など)から株を調達するために支払う費用のことです。
株不足が深刻化すると、この費用を空売りをしている投資家が負担しなければなりません。
逆日歩は、株価の変動とは無関係に発生し、時には利益を吹き飛ばすほどの高額になるケースもあります。
特に優待クロス取引などで人気の銘柄は、逆日歩が跳ね上がりやすいため要注意です。
「一般信用取引」を利用すれば逆日歩は発生しないため、リスクを抑えたい方は一般信用を選択するのが賢明です。
信用取引配当金相当額の支払い義務
空売りをしている間に決算日(権利付最終日)を跨ぐと、配当金相当額を支払う義務が生じます。
現物株を持っている人が配当を受け取るのに対し、空売り側はその金額を負担する形になります。
これは、株を貸してくれている側(本来の所有者)に配当金を還元するための仕組みです。
「株価が配当落ちで下がるから利益が出る」と考えていても、配当相当額の支払いで相殺されてしまうため、利益計算には含めておく必要があります。
| コスト名 | 支払いのタイミング | 備考 |
| 貸株料 | 毎日(日割り) | 株を借りている期間ずっと発生 |
| 逆日歩 | 株不足発生時 | 制度信用取引のみ発生 |
| 配当相当額 | 権利確定日跨ぎ | 後日、口座から引き落とされる |
保証金として使える「代用有価証券」の活用術
現金がなくても株があれば空売りができる理由
空売りの保証金は、必ずしも現金である必要はありません。
すでに保有している現物株式を担保として差し入れることができ、これを「代用有価証券」と呼びます。
これにより、手元にキャッシュが少ない状態でも、眠っている資産を活用して空売りを開始することが可能です。
資金効率を最大化できるため、多くの中上級トレーダーがこの仕組みを利用しています。
ただし、どんな銘柄でも代用できるわけではなく、証券会社が指定する銘柄に限られます。
また、Amazonなどの海外株は代用できない場合が多いので、国内株を中心に検討しましょう。
代用有価証券の「掛け目」と評価額の変動リスク
代用有価証券として株を差し入れる際、その時価がそのまま保証金になるわけではありません。
「掛け目(かけめ)」と呼ばれる評価率が適用され、一般的には時価の80%程度として計算されます。
つまり、100万円分の現物株を担保にすると、80万円分の保証金としてカウントされる仕組みです。
ここで注意すべきは、担保にしている株自体の価格が下がった場合です。
担保の価値が下がれば、連動して保証金額も減少します。
空売り銘柄が上がって含み損が増え、さらに担保銘柄が下がって保証金が減るという「ダブルパンチ」の状態になると、あっという間に追証ラインに到達してしまいます。
効率的な資金運用のためのポートフォリオ戦略
代用有価証券を賢く使うには、安定した値動きの銘柄を担保に選ぶのがコツです。
ボラティリティの激しい銘柄を担保にすると、保証金が常に不安定になり、心穏やかに取引ができません。
理想的なのは、長期保有目的の優待株や、配当利回りの高い大型株を担保に入れつつ、空売りで短期的なヘッジや利益を狙うスタイルです。
「攻めの空売り」と「守りの現物」を組み合わせることで、資産全体のバランスを保つことができます。
ネット通販でまとめ買いをしてポイントを貯めるように、資産も一箇所に固定せず、多角的に運用するのがコスパ最強の投資術です。
空売りのメリットを最大限に活かす3つのシーン
株価下落局面でも利益を狙える「相場の裏側」
空売りの最大のメリットは、相場が冷え込んでいる時でも利益を出せる点にあります。
現物取引しかできない投資家が指をくわえて見ているような暴落局面こそ、空売り勢にとっては「稼ぎ時」となります。
特に、悪材料が出た銘柄や、業績悪化が懸念されるセクターに対して空売りを仕掛けることで、短期間で大きなリターンを得られる可能性があります。
下落スピードは上昇スピードよりも速い傾向にあるため、効率よく資金を回転させることができます。
市場の悲観を利益に変える、この柔軟性こそが空売りの醍醐味と言えるでしょう。
「つなぎ売り」で株主優待をリスクゼロで獲得
投資家の間で非常に人気が高いのが、空売りを活用した「つなぎ売り(優待クロス)」です。
これは、現物株の購入と同時に、同じ銘柄を同じ価格で空売りする手法です。
この手法を使うと、株価が上がっても下がっても損益が相殺されるため、株価変動リスクを負わずに株主優待の権利だけを手にすることができます。
かかる費用は、売買手数料と貸株料のみ。
「実質数百円で数千円分のギフトカードや食事券がもらえる」ため、非常にコスパの良い投資法として知られています。
ただし、前述の逆日歩リスクには十分注意して銘柄を選ぶ必要があります。
現物株の含み損を一時的にヘッジするリスク回避
自分が長く持っていたい大切な現物株があるものの、一時的な調整局面で値を下げそうな時にも空売りは役立ちます。
現物を売らずに、同じ分だけ空売りを入れることで、その間の下落損を空売りの利益でカバーできます。
相場が落ち着いたら空売りだけを決済すれば、現物株を持ち続けながら資産の目減りを防ぐことが可能です。
これを「ヘッジ売り」と呼びます。
プロの投資家は、単に「当てる」だけでなく、このように空売りを「資産を守るためのツール」として多用しています。
空売り銘柄の選び方と失敗しないためのチェックポイント
割高銘柄を見極めるための指標(PER・PBR)
空売りで利益を出すためには、「これから下がる株」を探さなければなりません。
その指標として役立つのがPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)です。
業種平均と比べて異常に高いPERがついている銘柄や、実態以上の期待だけで買われている銘柄は、何かのきっかけで大きく売られるリスクを孕んでいます。
「バブル化している銘柄」を見つけ出すことが、空売りの第一歩です。
ただし、割高だからといってすぐに下がるとは限りません。「踏み上げ」に合わないよう、タイミングの見極めが重要です。
移動平均線からの乖離率(かいりりつ)をチェック
株価が急激に上昇し、移動平均線から大きく離れた状態(プラス乖離)は、一旦の調整が入りやすいサインです。
特に25日移動平均線から20%以上乖離したような場合は、買われすぎと判断され、利益確定の売りが出やすくなります。
このような「行き過ぎた相場」の戻りを狙うのが、空売りの王道パターンの一つです。
逆に、下落トレンドが明確になっている銘柄の戻り売りを狙うのも効果的です。
信用倍率と「貸借倍率」から需給バランスを読む
空売りをする上で絶対に確認しておかなければならないのが「信用残」の状況です。
特に、買い残と売り残の比率を示す「信用倍率」は重要です。
信用倍率が低い(=空売りが多い)銘柄は、将来的な「買い戻し」の圧力が強いため、少しのきっかけで株価が急騰するリスクがあります。
これを「踏み上げ」と呼び、空売り勢が最も恐れる事態です。
逆に、信用倍率が非常に高い銘柄は、将来の売り圧力(買い方の決済売り)が強いため、ズルズルと下がりやすい傾向にあります。
「需給の緩み」を見抜くことができれば、空売りの勝率は格段にアップします。
空売りで利益を出すための具体的なエントリー戦略
「三尊天井」や「ダブルトップ」で下落の予兆を掴む
空売りで勝つためには、チャートの形から「上昇のエネルギーが切れた瞬間」を見極めることが非常に重要です。
代表的な天井圏のシグナルとして、「三尊天井(ヘッドアンドショルダー)」や「ダブルトップ」が挙げられます。
これらのパターンは、高値を更新しようとしたものの、売り圧力に押されて押し戻された結果として現れます。
特に、ネックライン(安値同士を結んだ線)を下に突き抜けたタイミングは、絶好の空売りポイントとなります。
「山が高いほど谷は深い」という相場の格言通り、大きな上昇があった後の天井形成は、その後の急落を暗示しています。
焦って高値で売るのではなく、しっかりと形が崩れたことを確認してからエントリーするのが、無駄な損切りを減らすコツです。
「窓埋め」を狙った短期的な空売りテクニック
好材料などで株価が大きく跳ね上がり、チャートに大きな隙間(窓)が空いた場合、その窓を埋めるように株価が戻ることがよくあります。
これを「窓埋め」と呼び、短期トレーダーにとって非常に再現性の高い空売りチャンスとなります。
過熱感で買われた株は、利益確定の売りが出始めると、一気に窓の起点まで戻る性質があります。
「窓はいつか埋まるもの」という前提で、乖離率と合わせてチェックすることで、精度の高いトレードが可能になります。
ただし、窓を空けたまま上昇し続ける「踏み上げ」のリスクもあるため、必ず直近高値に逆指値(損切り注文)を入れておくことが必須です。
「決算またぎ」の空売りが持つリスクとリターン
決算発表直前に「期待外れ」を予想して空売りを仕掛ける手法もありますが、これは非常にギャンブル性が高い戦略です。
予想通り業績が悪ければ翌日はストップ安になる可能性もありますが、少しでも良い材料が出れば、強制ロスカット級の急騰に巻き込まれることもあります。
安定して稼ぎたいのであれば、決算が出た後の「反応」を見てから動くのが正解です。
「材料出尽くし」で売られる銘柄を、落ち着いてから空売りする方が、心理的な負担も少なく利益を残せます。
ネット通販でセールが終わるのを待って冷静に判断するように、投資も熱狂が冷めた瞬間を狙うのが最も効率的です。
空売りのリスク管理:致命傷を負わないための鉄則
「逆指値(ぎゃくさしね)」注文を同時に入れる習慣
空売りをする際、最もやってはいけないのが「損切り注文を入れずに放置すること」です。
買いの場合は最悪「ゼロ」になるだけですが、空売りの場合は「青天井」で損失が拡大し、保証金以上の負債を背負うリスクがあります。
エントリーした瞬間に、自分の許容できる損失範囲(例えば購入価格の+3%など)で逆指値の買い注文を入れておきましょう。
「いつか下がるだろう」という根拠のない希望が、最大の敵になります。
自分の指値が刺さった瞬間に、自動的に防御壁を築くイメージです。
これができない人は、空売りをすべきではありません。
資金管理:一度の取引に投じる保証金の割合
どんなに自信がある銘柄でも、手持ちの保証金全額を一つの銘柄の空売りに注ぎ込むのは厳禁です。
万が一の急騰で追証が発生した際、逃げ場がなくなってしまうからです。
一般的には、一度のトレードでリスクにさらす金額は、総資産の1%〜2%に抑えるべきだと言われています。
「負けても明日また戦える」状態を常に維持することが、長期的に生き残る唯一の方法です。
レバレッジは最大3.3倍までかけられますが、初心者のうちは1倍〜1.5倍程度に抑え、現金余力をたっぷり持っておきましょう。
空売り比率が高い銘柄の「踏み上げ」への警戒
ニュースなどで「空売り比率が過去最高」といった見出しが出た時は注意が必要です。
これは下落を予想する人が多い証拠ですが、逆に言えば「将来の買い戻しエネルギーがパンパンに溜まっている」状態でもあります。
何かの拍子に株価が上がり始めると、空売りをしていた人たちが一斉に買い戻しを急ぎ、株価がさらに跳ね上がる「踏み上げ」が発生します。
「みんなが売っているから安心」ではなく、むしろ危険だと認識してください。
需給が極端に偏っている銘柄は、触らないか、あるいは非常にタイトな損切り設定で挑む必要があります。
機関投資家の動きと空売り:個人投資家が知っておくべき裏側
「空売り残高」から大口のターゲットを読み取る
個人投資家の空売りだけでなく、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった巨大な機関投資家も日々空売りを行っています。
彼らの空売り状況は「空売り残高情報」として公開されており、誰でもチェックすることが可能です。
特定の銘柄に対して複数の外資系証券が空売りを積み上げている場合、彼らは「この株はまだ下がる」と強い確信を持っていることが多いです。
巨象が踏み荒らしている場所に、丸腰の個人が立ち向かうのは無謀です。
彼らの動きを味方につける(=一緒に売る)か、あるいは彼らが買い戻し始めたタイミングを狙うのが賢い戦略です。
「レーティング引き下げ」と空売りのタイミング
証券会社が発表する「レーティング(格付け)」の変更も、空売りの大きなきっかけになります。
強気から中立、あるいは弱気に引き下げられた銘柄は、機関投資家の売り注文が出やすく、株価が軟調に推移することが多いです。
ただし、レーティング発表直後はすでに株価が反応してしまっているため、追いかけ売りは禁物です。
「一度反発したところを叩く」という、落ち着いたエントリーが求められます。
情報を鵜呑みにするのではなく、あくまで「大口がどう動くための口実か」を考える癖をつけましょう。
ヘッジファンドが仕掛ける「売り崩し」のパターン
ヘッジファンドは、意図的に大量の売りを浴びせて株価を下げ、個人投資家の狼狽売りを誘発させる「売り崩し」を仕掛けることがあります。
特に出来高の少ない中小型株は、彼らのターゲットになりやすいです。
急激な下落に驚いて一緒に売ってしまうと、そこが底値になることも多々あります。
「なぜ売られているのか」の理由が不明確な場合は、一度様子を見る勇気も必要です。
通販サイトで「今だけ限定!」という煽りに乗せられないのと同様に、相場の煽りにも乗らない冷静さを持ちましょう。
空売りと「時間軸」:デイトレ・スイングそれぞれの戦い方
デイトレードにおける空売りのメリット
その日のうちに決済を終えるデイトレードにおいて、空売りは最強の武器になります。
オーバーナイト(持ち越し)をしないため、前述した「逆日歩」や「貸株料」をほとんど気にする必要がありません。
また、朝方の急騰が落ち着いた後の「垂れ(タレ)」を狙う空売りは、多くのデイトレーダーが最も得意とするパターンです。
「一日のボラティリティを上下両取りできる」のは、信用取引ができる口座を持っている人の特権です。
決済手数料が無料の証券会社を選べば、非常に高い回転率で資金を運用でき、コスパ最強のトレードが実現します。
スイングトレードで数日間下落を待つ手法
数日から数週間ポジションを持つスイングトレードでは、じっくりとトレンドの転換を待ちます。
移動平均線がデッドクロス(短期線が長期線を下抜け)した銘柄を、トレンドが継続する限り売り持ちする手法です。
この場合、日々の貸株料が発生するため、そのコスト以上に株価が下がる見込みがあるかを見極める必要があります。
「トレンドは友達」という言葉通り、下落トレンドに乗っている間は、少々の反発があっても動じない精神力が求められます。
ただし、週末を跨ぐ際は、海外市場の動向や不測のニュースで週明けに「窓を開けて上昇」するリスクがあるため、ポジション量は控えめにするのが無難です。
長期的な空売り(ショート)が難しい理由
投資の世界では「株価は長期的には上昇する」という傾向があります(インフレや企業の成長によるもの)。
そのため、何年も空売りを持ち続ける「長期ショート」は、コスト面でも確率面でも非常に不利な戦いになります。
また、保有期間が長くなればなるほど、配当金の支払いや逆日歩のリスクが積み重なります。
空売りはあくまで「短期・中期の調整局面」を抜くものと割り切るのが成功の秘訣です。
「いつかこの会社は潰れる」といった極端な予想で売り続けるのは、個人投資家には向いていません。
空売りの始め方:証券口座の選び方と設定
信用取引口座の開設基準と審査のポイント
空売りを始めるには、通常の証券口座とは別に「信用取引口座」の開設が必要です。
開設には各証券会社が設けている審査があり、投資経験や金融資産の状況がチェックされます。
一般的には「投資経験1年以上」「金融資産100万円以上」などが目安となりますが、最近では初心者の方でも開設しやすい証券会社も増えています。
「リスクを理解しているか」という確認テストがある場合が多いので、しっかりと知識を身につけてから申し込みましょう。
審査に落ちたとしても、経験を積めば再チャレンジ可能です。まずは現物取引で実績を作りましょう。
手数料と金利を徹底比較!どこが一番おトク?
空売りはコストとの戦いです。売買手数料はもちろん、貸株料や金利の安さは、長期的なパフォーマンスに直結します。
SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券は、手数料の引き下げ競争を行っており、非常に有利な条件で取引できます。
特に「一日信用」などのデイトレ専用コースであれば、金利・貸株料が0%になるサービスもあります。
「どこの証券会社を使うか」だけで、年間数万円の差が出ることも珍しくありません。
自分がどのようなスタイルで空売りをしたいのか(デイトレかスイングか)に合わせて、最適なプランを選びましょう。
| 証券会社タイプ | メリット | デメリット |
| 大手ネット証券 | 手数料が格安、ツールが優秀 | サポートが電話・メールのみ |
| 対面証券 | アドバイスがもらえる | 手数料が非常に高い、空売りの制限が多い |
| 新興スマホ証券 | アプリが使いやすい、少額から可能 | 分析ツールがシンプルすぎる |
注文画面の操作ミスを防ぐための初期設定
信用取引の注文画面は、現物取引よりも複雑です。
「新規売り」と「返済買い」を間違えたり、株数を一桁間違えて入力したりすると、致命的なミスに繋がります。
まずはデモトレードや、非常に少額の取引で操作に慣れることをおすすめします。
「確認画面を省略しない」設定にしておくことも、初心者のうちは有効な防御策です。
慣れてきたら、ワンクリックで注文ができるスピード注文ツールを活用し、一瞬のチャンスを逃さないようにしましょう。
空売りにまつわるFAQ:初心者が抱く疑問を全解消
「貸借銘柄」と「非貸借銘柄」の違いは何ですか?
全ての銘柄が空売りできるわけではありません。
証券会社が貸し出すための株を安定して確保できる銘柄を「貸借銘柄(たいしゃくめいがら)」と呼び、これが空売りの対象となります。
一方、時価総額が小さい銘柄や上場したばかりの銘柄は「非貸借銘柄」となり、通常の空売りはできません。
「売りたくても売れない株がある」ことを知っておきましょう。
ただし、最近ではネット証券が独自に株を調達して貸し出す「一般信用売短」などのサービスにより、本来売れない銘柄も空売りできるケースが増えています。
空売りをした銘柄が「上場廃止」になったらどうなる?
もし空売りしている会社が倒産したり、不祥事で上場廃止になったりした場合、株価は限りなくゼロに近づきます。
理論上、空売り側は「ほぼ取引額全額」を利益として手にすることができます。
しかし、実際には整理ポストに入った段階で買い戻しが殺到したり、取引が成立しなくなったりするトラブルも多いです。
「倒産狙いの空売り」は非常にリスクが高いため、専門的な知識がない限りは避けるべきです。
基本的には、健全に上場している銘柄の価格変動を狙うのが王道です。
保証金の「振替(ふりかえ)」とはどういう意味?
証券口座には通常「現物口座」と「信用口座」があり、保証金として使うお金は信用口座へ「振替」を行う必要があります。
現物口座にお金が入っているだけでは、空売りの保証金としてはカウントされません。
これを忘れていると、「資金があるのに注文が出せない」という事態に陥ります。
取引を始める前に、必ず余力が正しく反映されているかを確認しましょう。
スマホアプリのマイページから数秒で操作できるので、常に余力状況を把握する癖をつけてください。

コメント